2001.12.23 中山9R 芝・右内2500m       高配含み
枠番 馬番 赤穂 田端 Mr.X 羽場 木田川 本紙 重量騎手 馬  名
57江田照 アメリカンボス 
× × 55武豊 トゥザヴィクトリー 
57横山典 ホットシークレット 
55蛯名 マンハッタンカフェ 
57渡辺 ナリタトップロード 
57柴田善 ダイワテキサス 
57飯田 メイショウオウドウ 
× 53本田 テイエムオーシャン 
× 55田中勝 シンコウカリド 
10 57デムーロ トウカイオーザ 
11 57河内 イブキガバメント 
12 × 57和田 テイエムオペラオー 
13 × 55安田康 メイショウドトウ 

          痛快イロモノ企画 ミスターXの展開予想 

  エ、エッこれがグランプリなんですか? 人気投票って何のためにやったんですか? 今年のテーマは「世代交代」じゃなかったんですか? 強い三歳は走らないのですね。ステイゴールドもアグネスデジタルは、香港でGI勝ちし、なんとなんとエイシンプレストンまで! 所詮、有馬記念なんて年末の付足しレースで、ジャパンカップがみんなの目標レースだと毎年思うけど、今年は三歳勢が強いためショックが大きい。年末ジャンボ宝くじに飲みこまれるぜ! と、思いながら祭り買いをしてしまう自分が悲しい。テイエムオペラオーは誰にバトンを渡せばいいのだろう?
 展開は、毎度おなじみの超スローの縦長、一周目なんて何のためにあるのか分からないマイラーでも通用しそうなペースと隊列。そして、ほとんどがテイエムオペラオーと勝負付けが済んだ馬ばかり。
 私が、推すのは外枠を引いた時のナリタトップロード。4コーナー手前から芝のいい外目をまくり差すかもネ ! 但し、内枠なら屋根に問題があるため、4コーナー手前から外へ持ち出せない危険はある。「世代交代の年に時代を駆け抜ける馬」ナリタトップロードをどうぞ。但し、決して私はナリタトップロードマニアじゃありません。


<本紙の見解> Mr.Xが指摘している通り、何ともしまらない“グランプリ”。どうも今年の“メイン”第11Rは先週の香港だったようで、有馬記念は何だか、興奮がすっかり冷めた後つつましく行われる第12Rのようだ。大勝負する気にはなれぬ。売り上げが前年を下回るのは確実。

テイエムオペラオー お疲れさまでした。安いながらも、確実に配当をプレゼントし続けてくれた感謝の気持ちをこめて、◎を謹呈いたします。でも、馬体重大幅増で出てきて「故障せずにぐるっと回ってくるだけ」はヤーヨ
メイショウドトウ 今年の中山は、珍しく芝が良いらしい。オペラオーはどちらかといえばパワータイプなだけに、ラスト1000mの時計勝負になれば、再度破ってみせる可能性が出てくる。
△シンコウカリド 「強い」世代の未知の魅力に期待するだけで、さして強調材料は無い。スパッと切れる脚はないので時計が速くなると無用だが、ラスト1000mの混戦でバテずに渋太く残るタイプか。
×ナリタトップロード オペラオー・ドトウ両頭とも下降調子の中、この馬は平行線か上り調子。芝の状態が良いのもありがたい。明らかに中山よりは府中向きだが、弥生賞の豪脚を再現できる状況にはある。
自信の無印マンハッタンカフェ 一時は有馬で大活躍していた菊花賞馬も、菊花賞が「チンタラチンタラ→ヨーイドン!」に変貌してからは、とんと連対できないようになった。ま、この馬も「チンタラチンタラ→急にペースアップ→ついて行くのに精一杯→四角で、もうついて行けネーヨー→ズブズブ」というパターンになるだろう。恐らく。多分。そうなって欲しい。
自信の無印トウカイオーザ 夏以降、勢いだけでここまで来ちゃった。前走も弱小メンバーに恵まれ、楽勝。しかし、所詮は勢いだけの馬。今回のメンバー中、破ったことがあるのはイブキガバメントのみ……。ただし、血統的には侮れない。


三重が誇る「何?休暇承認簿?なんでそんなもんいちいち書かなあかんのや」と今日もダマネン純文学作家
やっしーAKOUの

連載競馬純文学 ラ ヴ  第十八章  殺 意 −8−

   冬が近づいているのか空が澄んで、高く感じる。日本の冬ももうそこまで来ている。高い空の向こうに遥か日本を思うと、不思議と感傷的な気分になる酒井だった。まさかこんな異国の地で生きている自分がいるなんて、映画の主人公にでもなった気分だった。

 ロシア製のカラシニコフ銃が数丁散乱している。弾倉がなかったり、銃身が曲がったりして使い物になりそうにない代物だ。髭で顔を覆われた男が一丁一丁手にとって見ているが、何事か呟きながら次々と放り投げていく。何人かの兵士が崩れかけた建物の中へ入っていく。酒井も背中を押され、かれらのあとへ続いていった。遠くで爆撃の音が絶え間なく鳴り響いている。壁にもたれ、自動小銃を胸のまえで抱えながら次の指示を待っている。隣のアラブ人が何事か喋っているが、英語ではないので要領を得ない。

 突然、その声がかき消され、空気がびりびり震えながら顔の皮膚を叩いていく。衝撃波と大音響で鼓膜の奥が痛い。身体全体が見えない力で持ち上げられたかと思うと、目の前が真っ暗になり、地面に叩きつけられた。意識が一瞬、身体を突き抜けたようになり、混濁している。

 酒井がアフガニスタンへ流れてきたのはほんの偶然だった。歌舞伎町の放火事件のあと警察の事情聴取を逃れるため、オーナーの張に頼み込んで匿ってもらったのが発端だった。張はアフガン経由のコカインなどを扱っていたため、その密売ルートを通じて香港にわたり、外人部隊に口利きをしてくれたのだった。酒井にとっては国外に出ることができればどこでもよかった。兵士になることに抵抗はあったが、落ちるとこまで落ちていく自分を見てみたい自虐的な気分になっていた。

 タリバンの外人部隊にはアラブや近隣諸国のほか、少数であるがインドネシアや中国などアジア系の兵士もいた。しかし、日本人は酒井のほかにはひとりもいなかった。彼も自分がジャパニーズであることは、あえて知らせなかった。兵士たちは酒井のことを「カイ」と呼んでいた。日本人であるかどうかより、相手を倒す戦士であればそれで充分だった。酒井がアフガンに渡ってから、アメリカ軍の空爆が始まり、いっきに情勢は一変した。毎日が本当の戦争になったのだ。しかし、彼にとっては生きるか死ぬかの日々を送ることは何もかも忘れられる充実した生活になった。銃を握り、飯を食い、眠る。いつしか、逞しい兵士として信頼を集めるようになっていた。

 壁が崩れてガレキの下敷きになっている。意識ははっきりしているが、身動きできない。酒井の頭の中には数日前の出来事が蘇ってきた。日本のスポーツ紙が兵士の間で話題になっていたのだ。文字はわからないが写真を見ながら笑いあっていた。大きな見出しを横目で見ながら、貪り読みたい衝動にかられた。「有馬記念」の白抜き文字が今でも焼き付いて離れない。薄れていく意識の中で、最期に競馬のことを思いながら死んでいくのも何かの因縁のような気がしてきた。ふと、あの朝の妻の一言が思い出された。

「菊花賞ってなんのことなの。」                                      
                                <了>

長らくのご愛読、ありがとうございました。作者は次回作を鋭意執筆中です。ご期待ください。
また、年末年始あたりに、「AKOU屋寿司特別展」を公開いたします。一見クールな紳士的風貌の裏に隠された、変態的情欲の数々をご堪能ください。