クラシックについて

クラシックあれこれ・・・・

 世間でクラッシック音楽といわれるものがありますが、これも幅がとても広い。交響曲、協奏曲、室内楽、管弦楽、声楽・・・いろんなジャンルがある中で、これが一番好きとはなかなか決めることが出来ませんが、曲名でこれが好きというのは、僕の場合、意外とはっきりしています。リストの「ラ・カンパネラ」、ベートーヴェンの「月光」、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番、第3番」・・・こう見てくるとピアノが多いです。こういうピアノを聴いてると本当に自分も弾きたくなりますね。坂本龍一の「ウラ BTTB」がCMソングとして流行った時は、思わずピアノ教室に習いに行きました(いい歳して・・・・・^^;)。映画「ピアノレッスン」のテーマ曲もピアノで弾きたい曲です(何の車のCMだったかに使われました)。この映画のサントラにある「マイ・シークレット?だったかな」も、ジンとくる坂本龍一系の癒し系のメロディーですよ。
 ピアニストの好みであげると、マルタ・アルゲリッチ(アルゼンチン出身の女性ピアニストで、ショパンコンクールでショパンの「ピアノ協奏曲第1番」で優勝しています。この時だったかな?日本の中村がいいところまで行ったのは・・)。彼女の力強いピアノタッチには圧倒されるものがあります。彼女は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番もCDで出していますが、すごいですよ。グングン引き込まれていきます。ジャズでいう「大西順子」と通じるものがあると思います。
 指揮者では、有名所でカラヤンかな?盛り上がりどころと繊細な部分のメリハリが僕は好きです。最近、チェロのミーシャ・マイスキーもなかなかいいなぁって聴いてます。ヨー・ヨー・マは・・・・CMのタンゴ系で一躍流行りましたが、心に染みる意味での繊細さという意味では、マイスキーですね。マイスキーは、奥さんに捧げる1枚、また、子供に捧げる1枚というふうにCDを発売していますが、その音色には込められた静かな優しさと愛情の深さを感じます。G線上のアリアなんか本当に心が休まります。最近、来実して、確か岐阜だったかでも演奏をしています。
 クラシック音楽は固苦しい音楽と、どうしても思われがちで、実際そういう部分は多々あると思います。特に、ジャズがテーマとアドリブで構成されていて「個性」の音楽なのに対して、クラシックは(特にオーケストラなんかは)、音がはずれたりすると、やっぱりそれはまずい。バーンスタインやカラヤンや小澤や、もちろんそれぞれ個性というか音づくりにカラーがあり、それがつまりファンにはたまらないところなんでしょうけど、それでも構成は原曲に忠実に演奏されますよね。途中でオーボエがいきなりアドリブに入りインタープレイするなんてことは、まずありません。つまり、テンポや盛り上がりの強弱に違いはあるけれども、きちんと第1楽章から順番に演奏される。これがクラシックなんですよね。それを、堅苦しいと感じる人もたくさんいると思います。だけど、よく考えてみたら、クラシックの中にはものすごい数の名曲があるわけですから、その時その気分にあった音楽を上手にチョイスして聴けばそれはとても心地いい音楽だと思います。てきぱきと何かをしたい時には、ハンガリー交響曲をかけるとか(チャップリンの映画「独裁者」では、チャプリン演ずる床屋がこの「ハンガリー交響曲」に合わせて実にてきぱきと仕事をしていました・・)、穏やかな気持ちの時にはワーグナーを聴くとか。その時の気分で短調の音楽を聴くか長調の音楽を聴くかでずいぶん心地よさが変わります。僕は、時々大音量でオペラや声楽を聴きますが(どちらかというとテノールが好きですね。ルチアーノ・パベロッティとか・・)、これもなかなか面白い気分になります。ここで重要なのは、ある程度の音量で聴くこと。クラシックの場合、他の音楽に比べて、静寂の部分と情熱の部分の音量に大きな差があります。たまたま、車の中で聴いていたりすると、急に大きな音で情熱に入ったりして驚くことがあります。ですから、ある程度、音的に余裕のある広い部屋で、しかもある程度おなかに響くくらいの音量で聴くと、その音楽の迫力や情景は本当に深く感じることができます。まあ、その場合にも最低限の音響設備は必要ですが。
 よく、折角いい音楽を聴きにいって、ついついウトウトと眠ってしまうことがありますよね。実にもったいない話だと思いますが、ある意味では何て贅沢な時間の過ごし方だろうと思います。いろんな睡眠の方法がある中で、生の演奏に包まれて眠りに入るなんてなかなかそういう機会でしか体験できません(アラブの金持ちなんかはいつもそうやって眠ってるのかも知れませんか・・・^^;)。 眠ってしまったら一緒かもしれませんが、やはりそこには説明できない(後で思い出そうと思ってもどんな眠りだったか口にはできないでしょうが)超α波が出ているのかもしれません。だから、これは超贅沢な時間だったんだと、ついつい眠ってしまった時には、僕の場合、そう思うようにしています。だって、クラシックのチケットって意外と高いから。

 ところで、皆さん、名曲喫茶って知ってますか? 僕も、東京で実際行ってみるまで知りませんでした。このあたり、中部地方には、今は、ほとんど無いです。東京にも少ししかありません。東京はなんと渋谷の道玄坂の近くに「ライオン」とういう名曲喫茶、それに旧109ビルの中にもう1店あります。でもやっぱり入ってみてすごいのは「ライオン」でしょう。入る時は静かに入らなければなりません。なんといっても木造の床がギシギシ音をたてますから。そして注文も小声で「ホットコーヒー」と・・・(別にレモンティーでもクリームぜんざいでも何でもいいんですけどね。あればの話ですが・・・)要は静かにしていなければなりません。メニューと一緒に、その月のパンフレットを渡されます。そこには、「真のHiFi ライオン・コンサート 立体音響・・・・・全館(各階)ステレオ音響完備(帝都随一を誇る)」と書いてあります。「帝都随一」ってところがいいですよね。そして、そのパンフレットには日替わりコンサート(といっても一日2回行われるレコードコンサートなんですが)のメニューが書いてあるんです。それ以外はリクエストを受け付けるしくみになってるんですね。そして一見薄暗い店内には・・・・いるもんですね。何人か好き者が。座席はみんな前を向いています。(意外と店内は広いです。一見教会のようにも見えるかも・・・)そしてその前はまるで祭壇のようになっており、大きなスピーカーからなにがしかの名曲が流れているわけです。音はジャズ喫茶のように決して大きくありません。(これについては、僕は少し不満なんですが。クラシックもジャズ同様、第音量で聴いてもいいと思うんですが、この店では、適度な音量で適度に品よく・・・なんですね。きっと、クラシックのファン層には高齢な方もたくさんいるからかもしれないです。) そして一曲演奏が終わるたびに、ボソボソと小さな声でマイクを通して「モーツァルト第○番、○○○を○○の演奏でお送りしました。次は・・・」と説明が入ります。渋谷の雑踏の中(渋谷の人の多さは、はっきりいって異常だと思います)で、こういう空間があるのには本当に驚かされました。お客は、帰るときもマナーを守って本当に静かに出ていきますので、気がつけばいつしか店には僕だけということもあります。
 東京の池袋のはずれに、名曲喫茶「ショパン」を経営していて、また、クラシックの本をたくさん書いている(著書は数十冊にもなると思います。どの本屋さんにも並んでいますよ。「喜怒哀楽のクラシック」や、「こんな時なにを聴く」「ショパンを好きな理由」「名曲の意外な話」「クラシックの名曲100選」など・・・)宮本英世さんという人がいます。このお店に遊びにいったことがあります。店は普通の喫茶店とそんなに違わないんですが(そんなに広くない。流れているクラシックの音量も適度で、隅っこで宮本さんが書き物をしていました)、本人は実に気さくないい人で(風貌も普通のおじさんとそんなに違わない)、前日に電話しておいたら、「昨日電話をくださった方ですか・・・わざわざ遠い所、よくお越しくださいました」と丁寧に招かれました。