便によりおこる皮膚障害とスキンケア

 

便が皮膚に長時間ついた状態でほっておくとなぜ皮膚障害を起すのでしょうか?

 

  便(アルカリ性)が、皮膚(弱酸性)につくと、皮膚を保護している

皮脂を取り除き皮膚が持つバリア機能を低下させます。

水分を取り込みやすくなった皮膚は、浸軟(皮膚が白くふやけた状態)

をおこし、表皮の結合性が弱くなり、軽く擦るだけで皮膚が損傷します

(発赤、糜爛、潰瘍)。また損傷した部分から感染を起すこともあります。

 

予防のためには?

 

    皮膚障害をおこさないようにするためには、個人の排泄パターンを知ることと、

    予防的なスキンケアが大切です。

    また便失禁のある方にはその原因を明らかにします。

 

  便失禁の原因って何?

 

    便失禁の種類

      蓄便障害(溜められずにもれる)    腹圧性便失禁

                             (咳やクシャミで漏れる)

                             切迫性便失禁

                             (我慢できずに漏れる)

 

       排便障害(出にくく漏れる)      溢流性便失禁

                            (溢れ出して漏れる)

 

      環境障害(環境不備で漏れる)     機能性便失禁

                            (トイレが遠い、痴呆、身体障害)

 

      その他 ( 下痢 )     (引用:褥瘡対策のすべてがわかる本;照林社)

 

   これらの便失禁のタイプを知り、便の回数・量・セルフケア能力・介護力

   経済性など総合的にみて、個人にあったケア方法を選択していく。

 

 

 

 予防的スキンケアの方法は?

 

      スキンケアの原則  @皮膚の清潔 A刺激物の除去

                   B機械的刺激を避ける C感染防止

 

  殿部(肛門周囲)の洗浄方法

@    ゴシゴシと洗うと機械的刺激により皮膚を傷つける危険性がある

石鹸(弱酸性のものがよい)はよく泡立てて、泡で洗うようにする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A    石鹸分は拭き取るのではなく、微温湯で十分洗い流す

B    水分は拭き取るのではなく、軽く押しぬぐい取るようにする

C    便が付着する部分に広範囲に撥水性のクリームや保湿クリームを塗る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 


 

   サニーナは便を拭き取るとき皮膚に

やさしく拭き取れる

 (スプレータイプ、泡タイプ、ナプキンタイプ)

   この他にも色々な撥水性・保湿クリームが

あるので経済性を考え選択していく

                      

  おむつの使用(高吸収性ポリマー配合のもの)

  下痢が頻回の場合、肛門用装具を使用することもある

 

 

 

 

 

 

 

 皮膚障害をおこしてしまったら?

 

 予防的スキンケアと同じように洗浄するが、石鹸を使用すると痛みを伴うことが

あるので、サニーナなどで便を拭い取ったあとは微温湯で十分に洗い流すことが

大切である。

 

発赤:撥水性のある軟膏、クリームをぬる

      創傷被覆材を貼用する

糜爛:亜鉛化軟膏を厚めに塗り便がついたら拭い取り重ね塗りをする

     (1日1回は洗浄)

      ストーマに使用する粉状皮膚保護剤を散布する

      創傷被覆剤を貼用する

 

 

 

 

 

 

 

                 (粉状皮膚保護剤)

 

  ! 場合によっては真菌症などにかかっていることもあるので担当医師か専門科

     医師に診てもらうことが大切である

     

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