第3回の講演内容

泌尿器科医 米田先生のお話をまとめてみました。。。。

 

T排尿障害をきたす疾患とその検査方法

1.排尿障害の分類は?

■ 症状からの分類として

  尿失禁、頻尿、排尿困難など

■ 疾患別に分類すると

  前立腺肥大症、神経因性膀胱など

2.正常な排尿とは→貯めるときは漏らさず(蓄尿期)、出すときには完全に(排出期)

  それが完全に出来ないと排尿障害と言える

  ■蓄尿期:・膀胱機能―正常

            過活動性―過反射性

                 \不安定膀胱

        ・尿道機能―正常

             \不全

        ・知覚―正常

           \過敏

            減弱

            消失

  ■排出期:・膀胱機能―正常

            \無収縮性

             低活動性

・尿道機能―正常

            \閉塞―過活動性

               \器質的

蓄尿期と排出期それぞれの異常でいろいろなタイプの排尿障害は起こる

3.外来で遭遇する排尿異常

  ■頻尿:回数、夜間や昼間も、尿量の過多で訴えは異なる

  ■排尿困難:うまく出ないことに苦痛を感じる

  ■排尿痛:いつも痛い場合や、排尿開始時、排尿の最後、排尿中などで異なる

  ■尿失禁:力が入ると漏れる場合や、知らないうちに漏れている、我慢できずに漏れるなど、

   単独の場合もあるが合併していることも多い

      

3.排尿回数、排尿困難に関する問診のポイント

  @昼間の排尿回数(排尿間隔)

  A夜間の排尿回数(排尿間隔)

  B1回の排尿量

  C尿意はあるか

  D排尿開始まで時間がかかるか

  E排尿時間が人より長くないか

  F排尿時のいきみはないか

  G排尿の途中で途絶えることはないか

  H尿の勢いはよいか

  I尿の切れはよいか

  J残尿はないか

  K尿意切迫感はないか

4.主訴から疾患を考える

  排尿回数や排尿困難に関する問診で忘れてはならないこと

 ・ 神経学的疾患の既往歴は?

 ・ パーキンソンや脳血管障害、脊椎疾患の手術や事故、糖尿の神経症状

 ・排尿に影響する薬剤?

  ■頻尿、尿失禁を起こしやすい薬剤

  1) 抗ガン剤:マイトマイシンC―発生頻度:膀胱炎(40.5%) 頻尿(2.5%

          キロサイト       :膀胱刺激症状(4.05%)頻尿(2.57%

          アドレリアシン    :膀胱刺激症状(33.9%

          エンドキサン     :出血性膀胱炎(1.2%)排尿障害(2.3%

          ブレオ        :排尿痛・頻尿・残尿感(0.9%

          エストラサイト    :頻尿(0.04%

        天然型インターフェロンα :頻尿(0.2%

  2)昇圧剤:ミニプレス―発生頻度:頻尿(0.08%

  3)ステドイド:メドトール―発生頻度:頻尿(0.27%

  4)非ステロイド抗炎症剤:ポンタール―発生頻度:頻尿(0.02%)

  5)気管支喘息治療薬:リザベン―発生頻度:頻尿(0.05%)

  6)消化潰瘍治療薬:チアトン―発生頻度:頻尿(0.02%)

  7)睡眠薬・鎮静薬:ユーロジン―発生頻度:尿失禁(0.02%)

            ハルシオン     :尿失禁(0.02%)

  8)向精神薬:コントミン―発生頻度:頻尿(1%)

  9)抗不安薬:セルシン―発生頻度:遺尿(0.02%)

         セパゾン      尿失禁(0.09%)

 10)自律神経用薬:ウブレチド―発生頻度:尿失禁(1.3%) 頻尿(0.4%)

 11)泌尿器用薬:ポラキス―発生頻度:頻尿(0.07%)

          ハルナール     尿意切迫感増強(0.10%

 ■ 頻尿を呈する疾患

.前立腺肥大症、膀胱頸部硬化症、神経因性膀胱、不安定膀胱、神経性頻尿

 急性膀胱炎、慢性膀胱炎、急性前立腺炎、慢性前立腺炎、膀胱結核

 間質性膀胱炎、膀胱結石、尿管結石、膀胱腫瘍

5.排尿困難を呈する疾患

  ■ 排尿筋収縮の低下による排尿困難

   1)核下型精髄損傷による排尿困難

   2)糖尿病、骨盤内手術による末梢神経障害に伴う神経因性膀胱

  ■ 尿道抵抗増大による排尿困難

   1)核上型脊髄増大による排尿筋−括約筋不協調

   2)前立腺肥大症、膀胱頸部硬化症、前立腺悪性腫瘍、急性前立腺炎

   4)尿道狭窄、尿道腫瘍、尿道弁

 ■ その他の原因による排尿困難

   1)膀胱あるいは尿道の結石、異物

6.どんな検査を行うか

  ■ 前立腺の触診

 .前立腺の大きさ

 .かたさ

.表面の状態

.肛門括約筋の状態

.血便

■ 神経学的検査

  .神経的原因疾患

.神経的異常の有無

.異常の範囲、程度

 .球海綿体反射

■ 排尿記録

  .排尿日誌

    .飲水や排便の記録

.ストップウォッチで排尿時間を計測すれば、平均流量率も推定できる

■ 検尿

  .排尿障害でもっとも関連する所見は、感染の有無

       .排尿時に痛みや発熱などの自覚症状も重要

■ 超音波検査                                 

    .膀胱の形

.膀胱容量・残尿量

.前立腺の大きさ

.上部尿路への影響

.結石や腫瘍の有無

■ 排尿動態検査

  .尿流量測定:尿流、排尿時間、腹圧排尿の有無

 .膀胱内圧測定:膀胱機能

 .尿道内圧測定:尿道抵抗

 .プレッシャー−フロスタディー:排尿機能の総合的評価

■ レントゲン検査(排尿時膀胱造影、鎖検査)

 .排泄性尿路造影:上部尿路の評価

 .膀胱造影:膀胱の形態、膀胱容量

 .逆行性尿道膀胱造影:尿道狭窄の有無、前立腺部尿道の形態

 .排泄性尿道造影:排尿時の膀胱頸部、前立腺部尿道の動き、残尿の有無

■ 内視鏡検査

   .尿道狭窄の有無、膀胱・前立腺部尿道の形態、膀胱結石の有無、腫瘍の有無

 

 

 

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