伊勢鉄道は、三重県北中部を走る、第三セクターの鉄道です。
四日市市の河原田駅から、津市の津駅の間を結んでいます。
営業キロは22.3キロ、河原田〜津の間を普通列車で約35分で運行しています。
また、河原田より北、JR関西本線四日市駅まで乗り入れ、四日市〜津の間を
約45分で運行しています。昼間は主に四日市〜津間を運行していますが、
河原田〜津間、玉垣〜津間などの列車も運行されています。
伊勢鉄道は、右の図のように、関西本線と紀勢本線を短絡するように走っていているため、
JRから名古屋〜伊勢市・鳥羽間の快速「みえ」、名古屋〜新宮・紀伊勝浦間の特急「(ワイドビュー)南紀」
が乗り入れています。これにより、亀山経由より時間短縮になるとともに、伊勢鉄道にも大きな収入を
もたらしています。
伊勢鉄道は、1987年 3月27日に旧国鉄伊勢線から転換され、開業しました。
国鉄伊勢線は、三重県北部地方を中心に発展してきた工業地帯の更なる発展を見込み、
通勤輸送、貨物輸送を目的として、複線電化構想で建設され、
1973年に開通しました。国鉄としては、比較的新しい路線なので、急なカーブもなく、
踏み切りも少ない高規格路線となりました。 |
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一方、工業地帯周辺では、「四日市ぜんそく」が問題となっていました。
多くの被害者を出した、この四日市ぜんそくをめぐって裁判が起こされ、国が敗訴。
工業地帯を縮小せざるを得なくなりました。
工業地帯の発展を見込んで建設された伊勢線は、工業地帯の縮小により、
役目を果たすことが出来ませんでした。開業時には、わずかな普通列車と、
数本の優等列車を運行するだけのただのローカル線に転じてしまいました。
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国鉄再建法により、特定地方交通線に指定され、廃線されることになった伊勢線ですが、
名古屋からの特急列車の短絡線という役目があっため、南紀地方からの強い要望により、
第三セクター方式で存続され、今に至っています。
国鉄時代より普通列車の本数を倍に増やし、「稲生駅」を「鈴鹿サーキット稲生駅」に改名して知名度を上げ、
開業の1987年から開催されることになったF1グランプリに合わせて臨時列車を運行するようにしました。
また、新駅の設置(開業時に伊勢上野駅、1991年に徳田駅)などを行い、
この結果、伊勢鉄道を利用する人は国鉄時代よりも大幅に増えました。
また、伊勢鉄道に乗り入れている、1990年から運行開始された快速「みえ」、特急「(ワイドビュー)南紀」
の収入もあり、2003年度現在、全国の第三セクター鉄道の中でも数少ない、黒字経営となっています。
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