私たちが健康面で普段から気をつけなければならないことは、2大死因である動脈硬化(脳梗塞と心筋梗塞)と癌にならないようにすることでしょう。適切な食事と運動が最も大切でありますが、残念ながら癌に関しては遺伝的体質によるところも大きいと思われ、現状では定期健康診断による早期発見と早期治療が必要であります。

 これに対し、動脈硬化は予防が非常に効果的です。つまり、動脈硬化の原因である高血圧、高脂血症(高コレステロール血症)、糖尿病を的確にコントロールし、タバコは思いきってやめることです。これらの慢性疾患も遺伝的要因によるところが大きいため治療は継続して行う必要がありますが、高血圧、高コレステロール血症では1日1回内服するだけで確実にコントロールできる安全な薬が開発されていますので、正常値になったからといって治療を中断せず、ぜひ続けていただきたいと思います。

 ただ、肥満が原因で糖尿病、高脂血症、高血圧となった方の場合は、カロリー制限と運動によって体重を減らせば薬を中止できる可能性がありますので、少しでも標準体重に近づけるように心がけて下さい。

(食事療法について)

 健康食品やダイエットについては本やテレビでいろいろ宣伝されています。値段がびっくりするほど高いので、もしかしたら効くのではと思わせる商品もあります。実際、患者さんの中にはいろいろ試しておられる方もみえます。毎日3種類の健康食品を飲み続けてみえる方もあります。自分の健康のためにお金をかけることは決して悪いことではないと思いますし、自称健康食品を全く否定するわけではありません。しかし、現時点で日本人を世界で一番の長寿にされた方々は、粗食の時代を生きてこられた方々であることは絶対に忘れてはなりません。飽食の現代では食事が欧米化しており、パンや肉類の摂取が増加するとともに、様々な病気も増えているように思われます。

 さて、大都会の方には大変申し訳ないのですが、当院の東側は漁業地域で、当院の西側は農業地域で、食べ物は常に新鮮です。この地域には非常に健康で長寿のお年寄りがたくさんいらっしゃいますが、肉類の摂取量は少なく、また魚でも赤身はあまり好まれません。前浜の超新鮮な物を主に食べてみえます。ナマ物はあまり好まれませんが、刺身を食べるとすると前浜のキスのみです。若松では全国的に有名なアナゴもあります。その他、アサリ・かれい・のり・小女子・ワタリガニなど伊勢湾でとれた物を好まれます。その結果、大腿動脈を触知しても動脈硬化がある患者さんはほとんどみえません。狭心症、脳梗塞もほかの地域に比べて非常に少ないように思います。

 でも、この食事が沖縄や北海道の方にも有効であるかどうかは疑問です。沖縄が長寿県だということで北海道の方々が沖縄の食事をすることが適当でしょうか?私は違うと思います。大事なことは、その土地に根ざした生活を精一杯に営むことであり、その地域でとれた野菜や魚など新鮮なものを料理して口にすべきです。当然のことながら、本来日本になかった外来の食物を毎日食べることが日本人の健康に役立つとは思えません。

 周囲を海に囲まれた島国である日本には何千年もの歴史があり、私達の遺伝子には、体内に取り込んだ海の恵みや米を上手に利用する知恵が組み込まれているはずです。しかし、欧米化した食事に対しては適切に対応することが難しいと考えられます。パン、肉類、牛乳などを上手に利用することができない結果、エネルギーや抗原が体内に蓄積してしまい、動脈硬化やアレルギーが発生するのではないでしょうか。

 さて、前置きはこのくらいにして、日本人の健康のための食事療法についてです。ズバリ、御飯を中心にし、その土地の野菜や近くの海で採れた新鮮な物を食べることです。そして、動物に関係したものを控えることです。特に海草にはカリウムとヨードが含まれています。カリウムを摂取する事で血圧と血糖値が下がり、ヨードでコレステロールが下がります。今こそ生命が母なる海で誕生したことを思い起こしてみるべきではないでしょうか。

 そして体重を減らしたいのなら、御飯は1杯以下とし、パン・麺類などの小麦粉から作られたものをカットし、肉は脂肪の少ないものとし、油を用いたものは中止、カロリーの多い間食もしないことです。おかずは野菜と海のものを中心にし、もし食事の量が足らなければ、豆腐とホウレンソウのおひたしを余分にお腹一杯食べていただければ結構です。そして、体を少しでも動かしたほうがよいということを、ときどき思い出して下さい。

(内服薬)

 当クリニックでは、患者さんの病態に適する薬剤の中で、世界的にも最も安全だと思われるものを処方しています。その結果、約半分が外国メーカーの薬となっております。日本の薬でも広く用いられ安全性が確立されているものを使用しております。さらに、飲み忘れをなるべく避けるために、1日1回で効果が持続する薬剤を多く用いています。最近の薬は効果が持続的で、かつ、副作用も少なくなっており、確実な診断下に用いれば安心して飲み続けていただける製剤が多くなっています。

 なお、当クリニックは医薬分業をしていますので、発行した処方箋をご自宅の近くのかかりつけ薬局へお持ち帰りいただき、薬剤師から薬に関して詳細な説明を受けていただいてから、納得して内服していただけると思います。

 また、患者さんからよく質問されるのは眠剤のことです。神経質で不眠の方には安定剤を処方することが多いのですが、そういった方ほど薬に対しても神経質で、これを飲むと頭がボケないかとか、クセにならないかとかおっしゃいます。これに関して私は、飲まずに眠れないよりは飲んで眠れた方が身体のためには良いと考えています。

(点滴治療)

 腕から入れる点滴治療の目的は水分とミネラルの補給とともに、薬剤を時間をかけて投与することにあります。最も効果的なのは、胃腸炎による下痢、おう吐や発熱による脱水状態で、点滴後は状態が劇的に改善するため、患者さんはかならず楽になったと喜んで下さいます。また、めまい・ふらつき・だるさにも有効です。

 当クリニックには点滴のためのベッドが7つありますので、状態の悪い患者さんはすぐに休んでいただけます。待合室で待つのがつらい状態の時には、遠慮なく「横になりたい」とお申し付け下さい。即座に対応させていただきます。

(外科治療)

 痔の治療、やけどの処置、傷の縫合や消毒はもちろんのこと、皮下膿瘍の切開排膿、イボ・線維腫・軟線維腫・脂肪腫などの皮膚のデキモノも摘出しています。さらに足のウオノメ・タコや爪の周囲の炎症も処置しています。また、さかまつげを抜いたりもしていますので、まずは何なりとお申し付け下さい。できる処置は何でもやらせていただきます。

(リハビリテーション)

 頭痛、首の痛み、肩こり、五十肩、肘の痛み、腰痛、坐骨神経痛、股関節痛、膝の痛み、足首や足底の痛み、手足のシビレに対してリハビリテーション治療を行っています。

 リハビリ機器は常に最新のものを導入し、治療に役立てています。EMS治療器(テクノリンク製 エグゼトロン)、低周波干渉波治療器(日本メディックス製 セダンテ ネオ)、ウォーターベッド型マッサージ(セルコム製 Aqualax)、近赤外線治療器(東京医研 スーパーライザー)、キセノン治療器(日本医広製AUVE)、空気圧マッサージ器(日東工器 エクセレントメドマー)、腰椎牽引装置(ミナト医科学 スーパートラック)、と様々なリハビリ機器を用いて消炎鎮痛処置を行っております。

 肩こり、腰痛、膝の痛みなどでお困りの皆さんはぜひ一度体験されてはいかがでしょうか。

(在宅医療)

 松岡ハートクリニックでは積極的に在宅医療に取り組んでおります。脳梗塞、脊椎圧迫骨折、慢性関節リウマチなどの疾患が原因で筋力が低下し、ねたきり状態となってしまった方や、認知症の患者さんが自宅で家族に囲まれて生活してゆけるように、定期的に訪問診察を行いバックアップしています。

 在宅医療では患者さんばかりでなく、実際に介護をされている御家族の方々の肉体的、精神的ストレスが非常に大きいため、介護者のストレスができるだけ解消されるように十分に相談しながら、お役に立てるように努力しております。