( 納豆に関する質問 )

(67才女性)狭心症にて心臓手術をうけてからバファリンを内服中です。知人に心臓の悪い方がおり、医師から納豆を食べないように指導されていると聞きましたが、私の場合は納豆を食べてもよろしいのでしょうか。

( 回 答 )

 納豆を食べない方がよいのは、ワーファリンという名前の薬を飲んでいる方のみです。ワーファリンは血液を固まりにくくさせる薬で、心臓弁膜症の手術(人工弁置換術)後や、心房細動という不整脈のある方などが、血栓を予防する目的で内服されています。納豆にはビタミンKが豊富に含まれており、これがワーファリンの効果を弱めてしまうため、食べないようにしていただいているのです。あなたのようにバファリンを内服してみえる方では全く問題ありません。
 50才を過ぎた閉経後の女性は女性ホルモンの減少によって骨がだんだん弱くなってきますので、むしろ、積極的に納豆を食べていただいた方がよいのです。納豆には骨を強くするビタミンKとタンパク質が豊富に含まれていますので、骨粗鬆症を予防するためにぜひ1日1個は食べるようにして下さい。

( 人工弁に関する質問 )

(71才男性)大動脈弁狭窄症ですが、仕事をすると胸が苦しくなるので、このたび心臓手術を受けることになりました。執刀医の先生から手術の説明を受け、自分の大動脈弁を切り取ったあとに入れる人工弁は、ブタの弁か機械の弁か、どちらかを選ぶように言われましたが、どうしたらよろしいでしょうか。ほかに気管支喘息とバセドー病もあります。

( 回 答 )

 人工弁には2種類あり、ブタやウシの組織から作製したものを生体弁、カーボンやチタンで作ったものを機械弁と言います。それぞれ長所と短所があります。まず生体弁ですが、長所は血栓ができにくいことで、術後早期を過ぎれば抗凝固療法の必要がありません。しかし、耐久性に問題があり、10年から15年で再手術が必要となる可能性が高いことが短所です。したがって、出産を希望する女性や胃潰瘍などの出血性の疾患のある方が適応になります。これに対し、機械弁の長所は耐久性で、半永久的に使用できます。短所は機械弁に血栓が付着しないように、血を固まりにくくさせる薬(ワーファリン)を生涯飲み続けなければならないことです。
 さて、あなたは仕事もされている71才の方ですね。もし、生体弁を入れた場合は、80才から85才頃に再手術が必要となる可能性が高いと思われます。心臓の再手術は、初回手術に比べて手術の危険性が高くなります。また、喘息やバセドー病も合併しているので、高齢になってからの再手術は避けられた方がよろしいかと思います。以上の理由から、私なら機械弁を選びたいと思います。

( 糖尿病に関する質問 )

(58才男性)6年前から糖尿病といわれています。ダイエットで体重を減らしたこともありますが長続きしませんでした。最近他の病院でうけた検査結果では、空腹時血糖141、尿糖と尿タンパクは陽性でした。薬を飲んだ方がよいのでしょうか?160cm 72kgです。

( 回 答 )

 これは日常の診療でもよく聞かれる点です。高コレステロール血症や高血圧の方からもよく聞かれますが、根底に薬はなるだけ飲みたくないという気持ちがあるのでしょう。その気持ちはとてもよくわかります。しかし、肝心なことは、内服でも食事療法でもどちらでもいいから結果的に検査データを正常化することであり、ダラダラとどっちつかずで過ごすことが最もいけないことだと思います。
 尿にタンパクが出ていますので糖尿病性腎症になっている可能性もあります。あまり時間的余裕はないと考えられますので、とりあえず早急に体重を減らして下さい。身長から計算した標準体重は56kgで1割増だと62kgですので、現在10kgオーバーです。とりあえず5kg減量して再検査してみて下さい。減量がどうしてもできないのでしたら内服治療をした方がよいと考えます。

( むくみに関する質問 )

(57才女性)最近足がむくみます。特に夕方になるとひどいですが大丈夫でしょうか。慢性甲状腺炎の診断でホルモン剤を1日1錠内服中です。

( 回 答 )

 むくみ(浮腫)の原因はいくつか考えられますが、一般的なものとしては、心臓と腎臓あるいは甲状腺の機能低下、貧血、静脈の血行の障害です。 心臓からのむくみなら心エコーで診断できます。そして、尿検査と血液検査で腎臓、貧血、甲状腺の働きを調べます。また、出産や立ち仕事によって下肢静脈瘤ができている方はたくさんおられ、これもむくみの多くの原因となっています。
 しかし、慢性甲状腺炎と診断されているのであれば、可能性が高いのは甲状腺機能低下症でしょう。その場合には血液検査により甲状腺刺激ホルモン(TSH)の増加が認められます。そしてホルモン剤を増量することで、むくみは改善するはずです。甲状腺の働きは季節によっても変化しますので、甲状腺ホルモンを定期的に測定しつつ内服薬の量を変えてゆく必要があります。
 足のむくみ(浮腫)そのものは怖い症状ではありません。早急にその原因を明らかにして対処すれば必ず改善するはずです。

( インフルエンザに関する質問 )

(65才女性)お昼のテレビ番組で、インフルエンザにかかったら48時間以内にワクチンを打てば軽くすむと言っていましたが本当ですか。

( 回 答 )

 我が国では健康に関する番組が非常に多いですね。冬場にはインフルエンザに関する話題が多く取り上げられています。さて、あなたは予防法と治療法を混同してみえるようです。以下のことをもう一度しっかりと覚えてくださいね。
 インフルエンザワクチンの接種は当院でも積極的に実施していますが、これは現在最も効果的な予防法で、その有効性は証明されています。予防接種は効果が現れるまでに2週間かかりますが、その効果は3〜5か月間持続します。インフルエンザは1月に入ると流行してきますので、12月中旬までにワクチンを接種するのが良いということになります。予防接種で免疫をつけておけば、万が一インフルエンザにかかっても軽くてすみます。
 さて、あなたの質問にあるインフルエンザにかかってから48時間以内というのは、抗ウイルス剤による治療法のことだと思います。1998年以来これまでに数種類の抗インフルエンザウイルス剤が保険適用となっていますが、これらは発症後48時間以内に服用しないと効果がないとされています。しかし、つらい症状が出てからの治療より、かからないように予防した方が絶対に楽でいいと思いますので、ぜひ予防接種を受けられることをお勧めいたします。

( 平均寿命に関する質問 )

(80才女性)女性の平均寿命が86才と聞きましたが、私の場合は、あと6年くらいの寿命と考えてよろしいでしょうか。今のところ、便秘症と耳が遠い以外に特に悪いところはありません。

( 回 答 )

 2008年度の日本人の平均寿命は女性86.05才、男性79.29才で、男女共に過去最高を更新中です。特に日本の女性は24年間連続世界1位です。男女の差はほぼ7才で変わりありません。わが国の女性達はますます元気です。
 さて、質問の方のように考えがちですが、これは間違いです。あと何年生きられるかは平均余命で見なければなりません。それによると、2008年において80才の方の平均余命は女性11.42年、男性8.5年です。したがって、あなたはお元気ですので、まだまだ10年以上は大丈夫だということです。ぜひ健康に注意して長生きして下さい。

( 麻疹に関する質問 )

(50才男性)最近、大学生を中心に若者の麻疹(はしか)が流行しているようですが、なぜなのでしょうか。

( 回 答 )

 2001年頃から、若者の麻疹(はしか)が増加しつつあるようです。子供の頃にワクチンを接種しても、その後麻疹ウイルスに接触して免疫が強化される機会がないため、10年ほどたつと免疫がなくなってしまうのが感染の原因のようです。乳幼児での感染よりも肺炎や脳炎などの合併症を起こして重症化しやすいので要注意です。特に食事がほとんどできない状態では脱水状態になったり、抵抗力がおちてしまうので、入院を含めたしっかりとした治療を考慮すべきです。
 (はしかの症状)10日前後の潜伏期の後、38度の発熱と風邪のような症状が出ます。3日ほどすると耳の後ろや顔に赤い発疹が出始め、徐々に下の方へ広がります。発疹が全身に広がるとようやく熱が下がりはじめ、次第に状態が回復に向かいます。

( ハチ刺傷に関する質問 )

(61才女性)ムカデに咬まれた時とハチに刺された時の処置はどうすればよろしいですか。

( 回 答 )

 ムカデの場合は局所の痛みと腫れは強いですが、半日ほどで軽快してゆきます。しかしハチの場合は、アレルギー体質の方ではショック状態になる可能性があるため、病院にかかられた方が安全だと思います。特に、2度目のハチ刺されや複数に刺された場合、大きなハチに刺された場合には十分に注意して下さい。
 ムカデの場合は家の中で咬まれた方がほとんどです。咬まれた部位には2つの小さな穴が見られますのでそれを少し拡げて毒をしぼりだし、消毒してから湿布を貼って様子をみて下さい。あまりにも痛みが強いようなら病院を受診して下さい。

( 狂牛病に関する質問 )

(40才女性)狂牛病は人間にもうつりますか。本当に牛肉は食べても安全なのでしょうか。

( 回 答 )

 2001年9月21日イギリスの研究所で、千葉県の5歳の乳牛が狂牛病であると確定診断されました。東アジアでは初めてでした。狂牛病とは牛の脳がスポンジ状になる致死性の病気です。同様のヒツジの病気にスクレイピーがありますが、狂牛病は、元々草食の牛にスクレイピーで死んだヒツジの肉を餌に混ぜて食べさせたことが原因だといわれています。さらに狂牛病で死んだ牛を肉骨粉として他の牛の飼料としたためにヨーロッパで牛の感染が広がったものです。このためイギリスでは、すでに1996年からすべての家畜に対して肉骨粉の使用が全面的に禁止されていました。
 人間では同様の病気にクロイツフェルト・ヤコブ病があり、狂牛病と同じく異常プリオンというタンパクが原因とされています。以前はこの両者の関連は指摘されていませんでしたが、1996年イギリスで従来とは病状の異なる10名のクロイツフェルト・ヤコブ病患者が見つかり、狂牛病からの感染であると発表されてパニックになりました。
 さて現在のところ、肉と牛乳には異常プリオンは見つからず、感染するリスクは少ないとされています。イギリスでは、脳や眼球などを含む頭部・脊髄・腸・胸腺・脾臓は除去しなければならないことになっています。つまり、モツ類には気を使った方がいいようです。

( ピアスに関する質問 )

(32才女性)ピアスの値段を教えて下さい。装着時の痛みはどの程度でしょうか?

( 回 答 )

 ゴールドとシルバー3000円、誕生石(ティファニータイプ)4000円、ダイヤモンド5000円です。これらはすべてワンペアの値段です。当クリニックではすでに100名以上にファーストピアシングを行ってきましたが、装着時の痛みはほんの一瞬で、これまでに一滴でも涙を流した女性はみえません。ただ、気分が悪くなりしばらく横になっていただいた若い男性が1名のみみえました。しかし、医療用ピアスで化膿した方は全くおられませんのでご安心下さい。