葬儀・法要について

 

葬儀の時は、突然のことで、わからないことが多くて右往左往される方も多いことと思います。
ここでは、当寺の場合についてご紹介しております。同宗であっても、地域によって異なることが多いと思いますが、ご参考になればと思い掲載いたします。

1 往生された時は

 お仏壇の掃除をし、灯明をあげます。打敷があるときは、裏返して白にします。お花は、色花を避けます。
 そして、ご遺体をお仏間に移し、お釈迦様の入滅時の姿勢(頭北面西)を原則として安置します。
 ご遺体の前に卓を置き、ろうそくをつけ、線香を焚きます。お花は紙花を供えます。線香は立てず、香炉に入る長さにして横にして入れます。この時、刃物・一膳めしなどを置くのは習俗で、真宗では行いません。

 葬儀についての連絡など

 最近は、葬儀社へ連絡をするといろいろな手配をしていだだけますが、以下の様な手続きが必要です。

・ お寺への連絡・・・・・・通常、喪主と親族の二名が連絡に訪れます。

・ 火葬場へ連絡・・・・・・火葬の時間を決めます。時間が決まったら、出棺時間の一時間前に葬儀を始める時間を設定し、お寺へ連絡をします。

・ 出張所へ届ける・・・・死亡届・埋葬許可書を提出します。

・ 近所に連絡をする・・葬儀のお手伝いなどをお願いします。

・ 鉢つきをする場合は、瀬古の年番に連絡する。

 鉢(はち)は、妙鉢・銅はち(金へんに祓うという字のつくりを書きます)と言います。もとは宮中などで打楽器として用いられていました。日本に輸入されたのは、平安初期と思われます。寺院においては法具となり、修法や説法の場において、打ち鳴らすようになりました。 
 仏様にご挨拶をして法の場へお呼びし、また、法が終わればお帰りいただくものであり、同時に、参列された方々に対しても、法要などの開始や終了を明確にお伝えするものです。 
 シンバルように鳴らすのですが、ただ叩けばいいというものではなく、鳴らしたあと微妙に擦り合わせて鉢の擦れる音を長く保ちます。
 当寺では、葬儀の法要の前後に鈴(りん)・銅鑼(どら)・鉢を奏する習わしで、塩屋地区では、僧侶ではなく、往生された方の地区の寺役(年番)を中心に4人で奏します。衣体・道具一式は、当寺にあります。鉢つきをして頂いた方4人は、初七日・五七日・七七日には親戚と同じ扱いでお招きする習わしでした。


妙鉢


銅鑼


 以前は、自宅からお墓まで葬列を組んで歩き、埋葬をしていました。その時の道具として、お寺からは、野仏・野袈裟(お剃刀の刃入り)ちょうちん2・旛4枚・三具足(花瓶・香炉・ろうそく立て)、お墓から、天蓋・竜頭をもっていき、瀬古の方々で用意をしていました。
 また、下記のような葬列の役割を決めて、葬儀の中で読み上げていました。
 最近は準備しなくなったので、野仏と野袈裟(お剃刀の刃入り)だけを持っていっていきます。
 野仏は、自宅で告別式をせず、墓で行っていたころ、寺からあずかっていき、葬儀が終わるまでご本尊としたものです。
 野袈裟は、真宗高田派だけのものです。野袈裟は、本山第十世真慧上人が、当時の民衆が仏壇などなく葬儀もできない状態だったことから、各道場や寺にさずけられたものです。

<葬儀 役割>

一. 提灯
一. 幡
一. 供物
一. 蝋燭
一. 香爐
一. 華
一. 持方
一. 天蓋

 

3 枕経(まくらきょう)

 住職・遺族・参集者とともに、お仏壇の前でお参りをします。場所が狭かったり、お仏壇がない場合は、ご遺体の前でする時もあります。
 枕経が終わった後に、納棺をします。

4 法名(ほうみょう)

 法名は、得度(とくど)の儀式を受け、仏弟子となった人に与えられる名前です。往生された時に付けられることが多いですが、生前から受けられている方もおられます。他宗では、「戒名(かいみょう)」という場合がありますが、真宗では、法名といいます。
 真宗高田派では、「釈○○○○信士(信女)」と四字の法名をつけることが普通です。
 法名は、当寺で用意してお渡しします。法名を書いた位牌は、中陰が終わるまで置いておきます。また、「○○院釈○○○○居士(大姉)」といった院号を求められる方もありますが、この場合は、本山へ行って受けてきていただきます。

 納棺

 納棺の時に、旅装束と称して、手甲・脚絆などを付けることがありますが、これは習俗で、真宗ではおこないません。故人が使っていた数珠を持たせてあげます。
 納棺が終わると、棺かけを掛け、その上に野袈裟を掛けます。この時、棺の真ん中に南無阿弥陀仏の字がくるように掛けてください。そして、野仏を箱のまま棺の上に置きます。

 通夜

 喪主は、ろうそくをともし、線香をたきます。お仏壇と祭壇の両方とも用意します。そして、参集者一同で、お仏壇の前でお参りをします。お仏壇がない場合は、ご遺体の前でする時もあります。
 お勤めは、文類偈と和讃です。
 塩屋では、当寺の女人講・福楽寺の観音講に入っていた方の場合は、講員の方々に通夜に参っていただきます。
 最近、民間の斎場を借りると、焼香をする場合がありますが、本来は一般の焼香は行いません。また、通夜に参会者にお礼の品を渡すことがありますが、本来は必要ないものです。

 葬儀

 葬儀の前には、お迎えに来られた方に鐘を四つ突いていただき、葬儀の始まりを知らせ、葬儀場へ向かいます。

 最近は、火葬場の都合で葬儀の時間が決まってきますが、昔は、午後に葬儀をするのが一般的でした。そこで、塩屋では、当日の非時(昼食)について、瀬古内の家へ「御非時料」を配っていました。また、「総非時」であれば、瀬古外の家へも配る習わしがありました。
 非時の献立は、精進料理で、白米・とうがらし汁(とうがらし・あらめ・油あげ)・豆,ゴボウ・人参の煮物などを用意していました。

 最近は、葬儀社の方が式次第や準備をしていただくことが多いと思います。
 式場では、十分前には参列者は整列し、お仏壇と祭壇に火を入れます。

〈葬儀次第〉

(1) 帰敬式(ききょうしき)

 住職が、帰敬式をします。いわゆる「おかみそり」です。剃刀(かみそり)を三回当てて、剃髪の儀式をします。これは、亡くなった方が仏弟子となる儀式です。生前にすでに法名を受けている方には行いません。

(2) 出棺勤行

 昔は、葬儀場であるお墓まで、葬列を作って歩いて行きました。出棺勤行は、その前のお勤めです。お仏壇の前で勤めます。お仏壇がない場合は、ご遺体の前でする時もあります。鉢つきをする場合は、この前後に行います。また、その後、役割を読み上げることも行っていました。

(3) 葬場勤行(告別式)

 故人とのお別れのお勤めです。昔は、お墓で行われました。最近のように自宅で行う場合は、住職と法中がご遺体の方を向いて席を改めるだけになりました。また、仏壇のない場合や民間の斎場を使う場合は、そのままの場所でいます。

 式次第は、次の通りです。鉢つきをする場合は、この前後にも行います。

・ 導師焼香

・ 勤行(正信偈・一首和讃・念仏回向)

(この間に、喪主焼香・親戚代表または一般焼香の礼に立つ方の焼香から始まり、続いて来賓・親戚が焼香をする)

・ 弔電披露

(4) 灰葬勤行

   これは、本来、お墓で埋葬する時のお勤めです。今は、葬場勤行に引き続いてお勤めします。
   この時は、紙花を青花に変えます。

 お勤めは、重誓偈・短念仏回向です。お勤めが始まると、代表の方が灰葬の焼香をすることがありますが、当寺では以前は行っておりませんでした。

(5) 野礼

 喪主と親戚代表が、住職・法中の前に出て、葬儀のお礼を述べ、親戚や参列者にもお礼をします。最近、葬儀社が入ると、出棺前に挨拶をすることがありますが、野礼をしているのですから、本来は不要です。

 出棺

 出棺の前には、故人と親しかった人々で生花を棺の中に入れます。
 出棺後、瀬古の方々は後かたづけをし、野仏・野袈裟は、お寺に返しに行きます。

9 寺参り

 収骨が終わったら、その足でお寺へ行き、御堂で灰葬のお参りをします。

10 自宅へもどったら

 自宅へ入る時、塩をまくことがありますが、これは習俗です。死を穢れとみなし、清めるという考えです。真宗では、死を穢れとはみなしません。故人は、仏様の願いにより浄土に生まれられたわけですから、清める必要はありません。
 また、最近は、中陰飾りと称して、仏壇と別に位牌やお骨をまつるところを設けることが多いですが、真宗では、すぐお仏壇に入れてもらってけっこうです。
 最近は、この時に初七日の法要を繰り上げて勤めることが多くなりました。

11 本山納骨

 本山への納骨は、真宗のお同行は亡くなればご開山・親鸞聖人のおそばに行かせていただくという意味です。本山で最初にお参りしていただく御廟が、親鸞聖人のお墓です。
 納骨の時期は決まってはいません。仕上げの日、初盆や一周忌の時など、親戚が集まった時に行っていただいたらけっこうです。
 納骨にあたっては、当寺に納骨申込書がありますので、行かれる前に申し出ていただければお渡しします。

12 中陰法要

 葬儀後、初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日(四十九日・満中陰)・百ケ日と法要をします。中陰のお勤めは、一般に亡き人の魂が迷わず成仏するようにするものとされています。しかし、真宗では、仏様の前に座って、私自身の生きざまが仏様の心にそっているかどうかを確かめていくお勤めと考えます。法要の日は、お渡しする中陰表で確かめてください。
 中陰法要は、亡くなられた日から数えて七日目ごとに法要を勤めます。つまり、日曜日に亡くなられた場合は、次の土曜日が初七日となり、以後土曜日ごとにお勤めをします。
 また、中陰法要については、逮夜に中陰法要をするところもあります。これは、亡くなられた日から数えて七日目の前夜ごとに法要を勤めるものです。つまり、日曜日に亡くなられた場合は、次の金曜日が初七日となります。いづれにしても、大切なことは、中陰法要では、往生された日を厳粛に思い起こし、故人の死を通して、私の命を見つめる機会とすることです。
 中陰法要は、七日ごとに勤めるのが本来ですが、最近は、重ね合わせて勤めることも多くなりました。その場合一般的には、初七日を葬儀の日か本来の日に勤め、二七日と三七日、四七日と帰り日、五七日と六七日と勤め、七七日を仕上げとすることが多いようです。
 なお、仕上げの日を三カ月にわたるのを嫌い、五七日に勤めることがありますが、これは、三カ月を「身につく」といって嫌う習俗でも真宗では関係ありません。

13 年忌法要

 真宗では、年忌法要は、往生された方をしのびつつ、私自身の生きざまが仏様の心にそっているかどうかを確かめていくお勤めです。
 往生された翌年は、一周忌の法要をします。そして、次の年には三回忌のお勤めをします。三回忌は、往生されて二年目(往生された日から三回目に当たる日)です。その後、七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三回忌・二十七回忌・三十三回忌・三十七回忌・四十三回忌・四十七回忌・五十回忌・百回忌と、当寺からお知らせをします。

14 永代経法要(えいたいきょう)

 満中陰か百ケ日、遅くとも一周忌か三回忌には、お寺へ永代経の志をあげていただくのが通例となっています。
 これは、前世からの深い宿縁を思い、父母に対する出生の恩や庇護養育の恩を思う報恩の心の表れです。わが実が遠い先祖から深い法縁につながって生かされてきたという仏縁の自覚とも言えます。
 永代経法要は、「資堂(しどう)」という形で、末永く読経の結縁をいただく法要です。また、ますます御堂が栄え仏法が盛んになるようにという願いをこめた法要でもあります。

15 その他

 焼香の仕方・念珠の持ち方は、宗派によって違いますので、自分の宗派の作法で結構ですが、真宗では、以下のような作法で行います。

(1) 焼香の仕方

・ 導師に礼をする。

・ 焼香卓前で、手を膝の上に置き、ご本尊を仰ぎ見て一礼する。

・ お香をつまみ、三回お香を薫じます。この時、一回ずつおしいただくことはしません。

・ 念珠をかけて、合掌・念仏・礼拝します。

・ ご本尊を仰ぎ見て一礼し、導師にも一礼して席に戻ります。この時、遺族に礼をする必要はありません。

(2) 念珠の持ち方

   親玉を上にして持ちます。
   また、一般に使われている房が一つの念珠は、房を左に垂らして合掌します。 

 (葬儀・法要のもち方は、地方によって異なるものもあります。)