◎すくすく子どもたち/5月号

 

わらわらと 蟷螂(かまきり)の子の 生まれけり

 カマキリが秋に産み付けた卵から、それはそれはたくさんの子カマキリが生まれてびっくりさせられます。それを見つけた時の子どもたちの嬉しがること。生まれるもの、子どもというものはみんなかわいいものです。

 さて、どうしても今書いておきたいことがあります。それは先日の熊本大地震のこと。発生したのは夜、保育中ではありませんでした。もし、保育中であったらと考えた人も多いことでしょう。被害状況を見ると、建物の損壊は免れていても、ガラスが割れ、上の物が落ち、この中に子どもが居たならと想像すると、日常から安全を考えていくことの大切さを思い知らされます。

 また、預けているわが子が無事なのかどうなのか一刻も早く確認したいという保護者に対して、電話も集中してかからないときにどうしたら情報を伝えられるのか平時から考えておかなければなりません。

 保育所などの施設側としてもあらゆる手立てを考えなければなりません。いつどこで災害は起こるのか、予想はできませんから、フェイスブックやラインなどSNSのあたらしいものの利用も考えておくべきでしょう。自分の子どもを預けている施設がどのように対処する計画なのかはきちんと確認しておきましょう。

 災害が起こった後も、預かっている側は、保護者がお迎えに来るまでは責任があります。東北の震災の時には、三日かかったところもありました。また今回、いくつかの保育所が避難所になりました。自宅が被害を受けた地域の人に園を開放し、大変頼りにされました。今の時代、保育所設置計画に、地元から反対運動が起こることがあると聞きますが、保育所を含めて、福祉施設がいざというときに地域のよりどころとなれるのだということを知らせていくことも大切です。

 災害・事故などは必ず来るものと考え、かけがえのない子どもたちの笑顔を一緒に守っていきましょう。

 

 

◎すくすく子どもたち/4月号

▽朝、泣いている子も日々成長

ヌqr

 今日からは 新しクラス チューリップ

 入園して約1カ月が過ぎますが、まだ朝のバイバイがうまくできないと悩んでいませんか? もういいかげん「慣れて」と焦っていませんか?

 保育園に着くまではニコニコしていたのに「お母さん」と泣き叫び、「ちゃんとお迎えに来るから」と言っても納得しない子ども。保育士に抱かれながら父母に手を伸ばす子ども…。

 そんな光景はこの時期、保育園でよく見かけます。子どもたちはお母さんやお父さんが一番良いのが当たり前です。今まで家庭で生活していた子どもにとって、園生活は新しい経験なのですから。

 不思議なのは0歳から入園している子の中にも、ある時、同じような光景が見られることです。子どもは保育園に「慣れて」いるから泣かないのではなくて、親や友だち、保育士との関係をつくる中で「成長して」自己を確立するのではないでしょうか。

 子育ては長い道のり、いろんな反応を受け止めていきましょう。そして困った時、保育士が「任せておいて!」と対応できるのが保育所の役割です。きちんと対応するためには保育士の数も経験も必要なのです。

 「保育園落ちた!」という切実な声が上がっています。国は保育の基準を緩和して、子どもをさらに詰め込もうとしています。現実をまったく知らない逆さまな政策で言語道断です。

 子育て・保育には十分な手をかけなければなりません。全国的に保護者や保育者の運動で勝ち取ったものを、元に戻すようなことになってはいけないのです。

 私たち保育に関わるものは「子どもは社会で育てる」ということを、もっと発信していかないといけないと感じています。子育て世代が「日本死ね!」と諦めなくてもよくなるように。

 (、三重県鈴鹿市 社会福祉法人鈴生会理事長・)

(了)

 

 

◎すくすく子どもたち/3月号

▽手をつなぐ保育を

ヌqr

 卒園の またねまたねと 抱き合えり

 毎年、卒園式は感慨深いものがあります。園で一番年上になり、一年を過ごした子どもたちが巣立つ時、その子たちが入園してきた時のことを思い出します。

 0歳から入園の4月、まだ3カ月だったA君を保育士に預け、職場へ向かったお母さん。どんなに不安いっぱいだったろう。後ろ髪引かれる思いで職場へ向かい、お昼頃になると張ってくる乳房の痛みに耐えながら、親子ともども保育園生活が始まりました。

 1歳半の育休明けから入園したBちゃんは、朝の別れ際によく泣きました。門のところまで保育士が抱っこして行き、お母さんが車に乗りこむ。バイバイどころではありません。しかし、やがて落ち着き、友だちと遊び始めます。根気良く付き合う保育士は専門家、頼もしいものです。

 C君は少し気になる子でした。そのことを親に伝えるのが一番難しいのです。どの親も認めたくないものです。でも子どもの成長を考える時、少しでも早く専門家に相談し、対策を立てていくことが大切です。根気良く話をして、発達診断を受け、支援が必要ということで、小学校へ引き継ぎが行われます。

 保育園は保護者と一緒に子育てをするところです。保育士は責任も重いのに待遇は低いままです。先月号で「声を上げよう」と書きましたが、「保育園落ちた」というネットでのつぶやきが世の中を動かす時代です。保育問題がもっと話題になって、少しでも泣く人が少なくなってほしい。大変な子育てを応援してくれる人は必ずいます。苦しいことばかりではありません。一緒に楽しんで子育てをしていきましょう。

 笑顔あふれる保育園生活を送り、しっかりと小学校へつながるように。

 (、三重県鈴鹿市 社会福祉法人鈴生会理事長・)

(了)

 

 

 

「すくすく子どもたち」

        山中幹雄

【赤旗日曜版に月一回の連載をは

 じめました。その記事です。】

1 笑顔鈴なりの子育てに

 

 ぐみの木に ふくら雀の

         来てをりぬ

 

 私の楽しみは一日一句、保育園の子どもたちや周りの風景を俳句によむことです。「ぐみの木ほいくえん」という小さな園は、共同保育所として21年、認可保育所として今年で11年目。「子育てをしているすべての人を応援する」ことを目標にしてきました。初めは親として、今は経営する者として関わり、たくさんの親子に出会いました。

 認可保育所へは、毎月年齢ごとに決められた保育費用が行政から支給されます。それは、どんな子どもたちも同じ額です。保育料は、家庭の収入状況により決定され、行政へ納めますが、私たちはその額や納付状況は知らされません。だからこそ、収入の多い家庭の子も、生活保護を受給している家庭の子も、障がいを持つ子も、同じ条件で保育を受けることができます。このことがとても重要で必要なことなのです。

 保育園は社会の縮図です。世の中と同じようにいろんな人がいるから、子どもたちはいろんなことを保育園で学び、成長し、生きる力を会得するのです。

 しかし、保育の制度が昨年4月から新しくなり、保護者が施設と直接契約をする仕組みもできました。そのため、施設側が子どもを選べたり、手のかかる子どもは公立へという流れも出てきています。

 日本の保育制度の良いところは、平等な保育を提供し、子どもの発達を保障し、保護者の働く権利を守るところ。それらを守りながら、子どもと保護者に関わることで、新しい出会いがあるでしょう。

 

2 子の心強くする赤鬼

 

 赤鬼の 角は一本 

        春よ来い

 

 今年の節分にやって来た赤鬼は飛び切り恐かったようです。わが園では、誰が鬼に扮するかは極秘事項。子どもたちにとって鬼は、弱い心を強くし、悪い心を持っていってくれるのですからそれは真剣。「にせもの」ではいけないのです。

 保育士たちにとっても、一年間の子どもの成長と保育の成果を確かめることになる行事です。いつもは生意気な子が押し入れに隠れ、豆を投げることができなかったりする反面、おとなしい子が一番前で頑張っていたりします。暴れまわる鬼は自分そのもの、最後には反省して園から去っていくことになるのです。

 春です。保育園への入園希望者には、4月からの入所決定通知書が届いていることでしょう。年々、保育への希望者が増え、「待機児」も多いのが現実です。「待機児をなくす」と国が始めた新制度も、多くの保護者が希望する認可保育所づくりが進んでいません。

 保育を受けることは福祉・権利です。国や自治体に責任があります。「不承諾通知書」が届いたら、どうしてその決定がされたのか問い合せをしましょう。全国的には運動で定員を増やしたり、育休中の保育を認めさせたりしています。保護者と私たちが力を合わせることが大事です。

 入園を控えたみなさんは不安も大きいでしょう。園庭開放やつどいの広場という子育て支援をしている保育園も多くあります。そういう場に出かけて、お母さん同士友だちになったり、保育士に相談をすることがとてもいいです。

 園では少し暖かくなると「泥んこあそび」が始まります。親は洗濯が大変になるだろうなと気遣いながら、春を待ちます。春は格別、日本中の子育てをする人に春よ早く来い。

 (、三重県鈴鹿市 社会福祉法人鈴生会理事長・)

 

明日へ向かって

山中 幹雄

「仕方ない、やるか!」と、本当に決意してから2年余の月日が経つ。

そして・・・今日、一区切りの日を迎えて考えてみる。

その日々は、出会いの連続、感謝の連続だったなと・・・。

 

たくさんの人たちありがとう。協力者名簿つくらせていただきました。なんと500人近くの方にご協力いただいています。

設計士の稲石先生ありがとう。先生の保育所設計に対する経験の豊富さと熱意、そして、建設が始まってからの監理への厳しさ、すごいなと思いました。

市や県や国の行政のみなさんありがとう。無認可保育所として22年、文句ばっかり言ってる私たちをよく認めてくれました。書類の大変さ、半端じゃなかったけどね。

地域の皆さんありがとう。こころよく保育所を受け入れていただいて。長いお付き合いになります。これからもよろしくね。

中村組とその関連業者の皆さんありがとう。予算的に厳しいのによくやっていただきました。いい建物できました。みんな職人さんたち明るかったもんね。

保護者のみなさんありがとう。ぐみの木ほいくえんの主役は子ども。それを中心にやっていこうね。

職員のみんなもありがとう。ここで良い保育所つくっていこうね。お互い遠慮はしないで意見は言いあっていこう。

安井園長、前島主任ありがとう。職員は、新旧とも個性派ぞろいだしね。その中で苦労も多いだろうけど、まだまだこれからだからね。

渡辺卓美先生ありがとう。絵がほしいなんて無茶言ってしまいました。子どもたちを優しくつつんでくれる、あったかい絵です。

鈴木茂先生ありがとう。いい看板できたよ。彫ってるとき楽しかったです。ほんとはこれが天職なのかも。

 

何事も、昨日があって、今日があって、明日がある。

今まで持っていたものにまた新しいものを積み上げる。

いろんな人が無理をきいてくれたなあ。だからできたんだよね。

そして、自分の人生の中に何か残せることができるとしたら

明日からもまたがんばれるよ。

ぐみの木にこれからもえがおがすずなりになるようにね。

 

・・・それから家族のみんな、ありがとうね。

 

苦しい時こそ明るく 

平賀 節代

ぐみの木ほいくえん開園おめでとうございます。

この日を迎えるまでの、皆さんの、ご苦労を思うとき、胸が熱くなります。山中さん、安井さん、由子ちゃん、市川さん、みっちゃんたちの嬉しいお顔が目の前に浮かんできます。

県交渉で一緒に怒ったこと、熱海の全国集会へ車で連れていってもらったこと、朝まで話した事、本当のなかまだと今も思ってます。

共同保育所時代のすべてが、いまもわたしの誇りです。そしてわたしを支えてくれてます。

 お金には貧しかったけれど、心は、あたたかで、一生懸命で、いろんな知恵と工夫で乗り切って、よく笑い、よく泣いて、とても人間的でした。

 認可園になっても、行革の嵐の吹き荒れるなかでの運営は、厳しいこと間違いありません。保育運動の要となり、こどもと父母を守る砦になってください。

 苦しいときには、共同保育のときを、認可園への取り組みの過程を思い出してください。たくさんの人の心を動かし、新生ぐみの木が誕生したことを。明るく笑顔をわすれないでください。

 たんぽぽ共同保育所が果たせなかった大きな夢、ぐみの木のみなさん、ありがとう。

                    

抱っこの木のあるほいくえん

稲石建築事務所  稲石 勝之

 

田んぼの中に遠望できる、ぐみの木ほいくえんはあたたかい雰囲気の大きなおうち≠ニいう声から、計画が始まりました。

昨今の子どもを取り巻く環境は、家族の絆を断ち切ってしまうほど、ひどい状況になってきました。私の子育ては済んでいますが、大人が力を合わせて子どもの暮らしを仕立てあげる≠アとに共感して設計をすすめました。建物をつくった職人さんも、大変、骨を折って下さいました。

 新しい園舎には抱っこの木≠ェ何本かあります。京都の北山の床柱(杉、桧)です。この木は、土のない山の急斜面で、辛抱して育った強い木です。「こんなものを部屋の中に邪魔じゃない」と思うかもしれませんが、もっと遊んでいたくて帰りたくない子がしがみつく木です。誰かと喧嘩して少し辛い時は、触れば何か聞いてくれる木です。落ち込んだり、人恋しい時は抱きつく木でもあります。肌触り良し、香り良しの、べっぴんさんの木です。いつまでも大切にして下さい。

ここで、子ども達が、しっかりと遊んで、寝て、食べて元気に育ってほしいと願っています。

 

 

メッセージ・・・・

     三重県保育団体連絡会 会長 芳野 孝

 

 みんなが待ちに待った−「ぐみの木ほいくえん」の開園おめでとうございます。山中さん始め関係のみなさまのご苦労は大変なものだったと思います。

 私が漏れ聞いているだけでも、「当初の土地がダメになった」「国の認可が先送りになった」「お金は湯水のように消えていく」などハラハラすることばかり。私だったらとっくにあきらめているのに、山中さんや保育士さんは泰然自若、「まあ、仕方ない」と笑っているところがすごい!

 やっと、三保連の会議後、夜、山中さんの案内で土地を見せていただいて、「ああ、ここなのか」と少し安心しました。

 

 その後、子ども達や地域のために、言葉は悪いですが−「欲張り」の山中さんと保育士さんは、今度はこんな保育をしたい、こんな体制にしたいとうれしい悩みをぶつけ合ったのでしょうね。小さなパンフレットを見て、やっぱりがんばったのだと思いました。

そして、このがんばりの中に、いままで駆け込み寺のように突然やってくる母と子、それをしっかり受け止めた無認可の時代があり、今日の開園は、その延長線上にあるのだと思っています。どうか、あまりがんばりすぎず、ゆったりと保育を始めてください。

本日は、おめでとうございます。