悲願30年 近鉄バファローズ ドキュメント 栄光のV1

制作協力=(株)近鉄球団/朝日放送/朝日音楽出版   構成協力=朝日放送運動部  写真・資料提供=大阪日刊スポーツ  制作=(株)CBS・ソニー
優勝を伝える記事(大阪日刊スポーツ)
記事内容
 近鉄がとうとう優勝をかちとった。しかもあの勇者阪急につけこむスキを与えず、三タテで球団創設以来三十年の夢を現実のものにした。
 優勝が決まったのは、延長に入った十回だった。この回、先頭の梨田が中前にクリーンヒット。吹石は送った。稲葉も懸命に二塁に送球したが井上の足が塁を離れてオールセーフ。無死一、二塁。石渡はがっちりバント。1点もやれない阪急は、永尾を歩かせて満塁策をとると同時に、ここまで好投していた稲葉に代えてエース山田を注ぎこむ万全策をとった。山田は平野を一飛、小川を遊ゴロ、これでチェンジと思われた直後、井上修がはじいて、決勝の走者、梨田の生還を許してしまったのだ。
 先手をとったのも近鉄だった。三回、羽田が左前安打。続く石渡のなんでもない三塁ゴロを島谷が前にこぼした。その上、あわてて一塁に高投する失策で一、三塁のピンチを招いてしまう。阪急はこの手痛いミスで、近鉄にいとも簡単に先取点を許してしまった。
 阪急も六回、村田から福本が右に同点本塁打を打ちこんで、いったんはゲームを振り出しに戻した。ところが、ここで一気に近鉄を突き放すだけの力がない。七回二死満塁と近鉄につめ寄るのだが、代打の笹本は、若い力のほとばしる山口に中飛にかわされて、せっかくの盛りあがりかけたムードもしぼんでしまった。
 あとは山口の独壇場。若さと勢いと自信でぐいぐい阪急打線を攻めこみ、王者阪急につけ込むすきを与えず抑えこんだ。 【花井】

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