栄地区地域づくり協議会(鈴鹿市)



































































































































































































































栄地区地域計画(令和2〜5年度)


T 栄地区(栄小学校区)の概要

1 自然環境・社会及び生活基盤の現状と課題

(1)概要

・栄地区(栄小学校区)は、「磯山町,磯山一丁目,磯山二丁目,磯山三丁目,磯山四丁目,東磯山一丁目,東磯山二丁目(磯山団地,ビレッジハウス磯山及び東磯山京田自治会を除く。),五祝町,秋永町,中瀬古町(伊勢鉄道株式会社軌道敷以西を除く。)」からなる、人口 約4,400人 、世帯数 約1,950世帯の地区で、行政上の栄地区(栄地区市民センタ−所管区域)の約4割(人口比:推定)を占めている。


・鈴鹿市の東南端に位置し、伊勢湾と中ノ川・堀切川に囲まれた地域と両河川の沿岸の地域であり、標高は概ね0〜10mで津波浸水が予測される低地が広がり、西部は郡山地区につながる高台となっている。


・また、市街化調整区域に位置し伝統的な農村集落の良さを残した内陸部の小規模集落、高度成長期に土地の売買等による住民の移動や農地の宅地化等により新旧住民が混在する海岸部のR23号・近鉄沿線地区、さらに高度成長期に新規開発された小〜中規模の住宅団地地区から構成されている。


・鉄道、道路の状況は、東側に近鉄とR23が西側に県道上野鈴鹿線が、さらに西端に伊勢鉄道が南北に走り、北端に磯山バイパスが東西に走り、西部にはCバスも運行されている。


・日常生活については、コンビニは点在しているが、近鉄沿線地区を除くと徒歩圏内では生鮮食品などの買物は難しい状況にあり、医療需要についても地区内に診療所は数カ所あるものの基幹病院への通院は同様の状況にある。


・高齢化率は市内で中程度と見込まれ、栄小学校の入学者数推計でも当面は小規模校として維持できる状況にあるが、住民の流動は近鉄沿線の一部を除き限られている。


・大規模な工場、店舗はないものの中小の工場や作業所が点在し、農業(委託等により一部集約化)、飲食店などサービス業も一部にみられるが、住民の大多数は地区外に就業している。


・文化・観光等の地域資源は、特出したものは見られないが、海岸線の初日の出、中ノ川下流のアサリとりなど一部の地区住民や来訪者に親しまれているものもあり、田園地帯の広がる景観もまだ健在である。


・子育て環境については、青少年育成町民会議、放課後児童クラブが活動しているが、地区の子ども会は会員数の減少などで活動に苦戦しているところもみられる。


(2)主な課題

・地域づくりの「栄地区」は、行政機関の地域区分と合致しないことや少子化による学校と住民の関係の希薄化などにより、地区の位置や範囲が住民にわかりづらく、地区内外に端的に説明できない憂いがあり、また統計データや各種の指標となる客観的データがないため、ある程度定性的な地域の把握はできるものの定量的に地域を評価することが難しい状況となっている。


・海岸と河川に囲まれた低地が多く、津波、河川や内水の氾濫による水害等の自然災害の被害を受ける可能性が高い地域である。


・地域と住民との関係においては、農村的共同意識の維持されている地域、新旧住民が混在する地域、高度成長期にできた住宅団地のそれぞれで、住民の地域との距離感、連帯感等の意識も微妙に異なっており、自治会の運営等にも違いが見られる。


・近鉄沿線を除き、車が主要な移動手段となっており、高齢化の進展による運転免許返納等が加速すれば、食料品の調達、病院への通院などが難しくなる。



(現況を把握するための統計データ等について)

 当地区は正確な面積、人口・世帯数等の統計データ、市の総合計画等における指標は把握できない地区である。

 このため、計画策定においては、人口・世帯数については、栄地区市民センターで推計した概数を、その他多くの

場合は栄地区市民センター管轄区域の指標を参考指標とするが、この区域には郡山小学校区全域と鼓ヶ浦小学

校区の一部が包含されており(世帯数で、概ね栄小学校区:4、郡山小学校区:4、鼓ヶ浦小学校区:2の割合)栄地

区地域づくり協議会の対象区域の実態を必ずしも反映したものとはいえない状況である。

 これを補完するため、地区内の住民にアンケート調査を実施したところであり、830の回答を得た

(人口推計:約4400・世帯数推計:約1950)。

高齢化や居住年数等の実態については、アンケート調査結果も参考にしている。


2 コミュニティ維持・強化や交流・連携の取り組み

@自治会等の活動 

12の自治会がその地区に応じた活動を展開しているが、主体的・継続的に活動できる担い手は減少傾向にあり、単年度持ち回り形態が増加している。その他の構成団体においても、それぞれの目的に向けた継続的な活動が行われているが、少数の固定的なコアメンバーに依存して活動を維持している団体が多く、総じて担い手の確保が課題となっている。


Aボランティア活動

中ノ川清掃のボランティア活動や各地区の出会い的な環境整備活動、登下校の見守り活動、老人会の清掃活動などとともに、除草等環境整備のボランティア活動に取り組む住民もみられる。


B生涯学習活動 

生涯学習活動は、栄公民館が新築されたこともあって増加傾向にあり、一部集会所においても定着している。自治会の範囲を超えた交流が活発化しつつある。


Cサロン等ふれあい支え合い活動

サロン活動などによる住民のふれあい機会の場は、各自治会や複数自治会で実施されているが、地区全体には及んでない。


D地域活動に関する意識(アンケート調査結果)

地域活動へ参加状況は、自治会(32.9%)、PTA・子ども会(20.5%)、趣味等の同好会・サークル(13.3%)が多くなっており、「今後参加したい・参加してもよいと考える」のは、趣味等の同好会・サークル(24.2%)が特出し、次いで自治会(13.3%)、まちづくり(9.8%)、防犯・交通安全(9.3%)となってる。また、「参加したくない」との回答も15.6%ある。


・地域づくり協議会のスタッフ・手伝い等については11%の住民が「興味がある」としており、「興味がない」(36.7%)、「わからない」(42.8%)との結果であった。


3 アンケート調査による住民の意識

(暮らしやすさ等)

・「暮らしやすい」と「やや暮らしやすい」が83%(磯山・東磯山85%、秋永・中瀬古・五祝82%)、「暮らしにくい」と「やや暮らしにくい」が12%(磯山・東磯山12%、秋永・中瀬古・五祝17%)であった。


・「暮らしやすい理由」として多いのは、「雰囲気・近隣関係が良い」(23.4%)、「通勤通学等の利便性」(23.3%)であり、地域別には、 磯山・東磯山が「通勤通学等の利便性」(25.8%)、「雰囲気・近隣関係」(23.4%)、また秋永・中瀬古・五祝では「雰囲気・近隣関係」(23.2%)、「景観自然環境」(20.5%)の順となっている。


・また、暮らしにくい理由で多いのは「防犯・防災等の不安」(16.5%)、「公共施設・医療福祉が利用しにくい」(8.7%)であり、地域別には、 磯山・東磯山が「防犯・防災等の不安」(18.7%)、 秋永・中瀬古・五祝では「通勤通学が不便」(13.3%)、「しきたり風習等閉塞感」と「公共施設・医療福祉が利用しにくい」がともに11.9%との結果であった。



(今困っていることや将来不安を感じること)

全体としては、「災害への備えや避難など」が18.3%と目立っており、次いで生活資金や介護の問題が多い。地域別には、 磯山・東磯山:「災害への備えや避難など」が20.4%と特出しており、 秋永・中瀬古・五祝:「鉄道バス等交通手段」16.1%、「ゴミ出し草刈り等日常生活」(14.4%)となった。

(地域づくりを進める上で必要な取り組み)

 「ふれあえる機会の多様化など人的交流を進める」と、「有償ボランティアなど新たな制度や仕組みづくり」の2つがともに25%程度と多い。年齢階層別では、66歳以上で「ふれあえる機会の多様化など・人的交流を進める」が28.9%と特出し、65歳以下では「HP等情報発信・共有がしやすい環境づくり」(全体9.4%・65歳以下12.6%)、「積極的に地域が取り組む必要は無い」(全体5.9%・65歳以下7.1%)が高くなっている。




4 住民や地域リーダー等からの具体的な意見

 当地区では、地域づくり協議会設立に向けて、自治会長・民生委員児童委員・公民館関係者・地域の団体リーダー等から研修会・先進地視察・避難訓練等の機会に意見交換や地域づくりに関する意向把握等を実施しており、またアンケート調査の自由記載欄にも多様で具体的な意見などをいただいた。



 個別の意向に直接対応するのは必ずしも適切ではないと思われるが、今後の取り組みに当たってはこれらの意向も念頭において進めていく必要があると考えている。


U 地域づくりの目標


 (めざす姿)


   「みんなで支え合い、


         幅広い世代が共存していく栄地区」


                    〜栄え、栄えゆく、栄地区〜




「暮らしやすさ」を維持、向上させる持続的な取り組みを、"今から"、"わたしたちができる範囲"で、"徐々に"進め、地域のみんなが気軽に言葉を交わし、お互いに気遣いあい、ともに心豊かに暮らせる栄地区、10〜20年先の世代でも住んで良かったと思える栄地区をめざします。


V 目標達成に向けての取り組み



(1)基本的な考え方

・少子高齢化の進展、格差の拡大、居住者の多様化(多国籍化)、多様な情報が飛び交うネット社会化などの避けられない環境の変化の中で、暮らしやすい地域を維持し発展させていくには、今のうちからコミュニティの「質」を維持し高めていく継続的な取り組みを進めていく必要がある。


・ともすれば「ギスギスした」人間関係になりがちな社会経済環境の中で、地域住民がいろいろな機会や場面で重層的に触れあい、"緩く"つながり合うことにより、お互いに気遣いあえる関係を構築することが地域力の源泉となり、住民の不安が大きい地震等の災害に対しても力を発揮し、心豊かにくらせる地域社会を作ることができるものと考える。


・具体的には、アンケート調査で住民の困っていることや将来への不安、地域での必要な取り組みとして指摘された事項、自治会長・民生委員児童委員など地域リーダーの意見などから、


@住民の不安が大きい地震・津波や河川の氾濫などに対応した取り組み(防災部会)


A地域で必要な取り組みとして回答が多かった、住民間の交流連携や有償ボランティア等の支援の仕組みづくりなどコミュニティの質を高めるための取り組み(ふれあい支え合い部会)


B地域づくり活動を将来に向けて進めていくための体制づくり(企画運営委員会)


の3分野についてそれぞれ部会等を設置し目標達成に向けた取り組みを推進する。


・なお、各取り組みとも地域に継続的に受け入れられるものとしていくため、行政等の制度改変、他地域の活動状況、住民の意向の変化等に対応した柔軟な事業の新設・改廃ができるような運用を心がける。


・また、歴史的・地理的背景から当地区は概ね3つに分かれており、事業実施のあたってはそれぞれの地域特性にも留意して進めていくこととする。


   *市街化調整区域に位置し伝統的な農村集落の良さを残した内陸部の小規模集落


   *住民の移動(流入)等により新旧住民が混在する海岸部のR23号・近鉄沿線


   *高度成長期に新規開発された小〜中規模の住宅団地



(2)4カ年の取り組み目標

 自然災害の被害をできるだけ減少させること、地域のふれあい支え合い活動を維持・進展させること、地域づくりに取り組む体制を充実させることの3つを当計画期間の基本的な方向として、それぞれの部会等で活動を進め、当地区の地域づくり活動の基礎をつくります。


【防  災  部  会】

・南海トラフ地震に備えて、東日本大震災の記憶を風化させないことを主眼に置いた地震・津波避難訓練を継続して実施していきます。


・地震・津波、中ノ川・堀切川や急傾斜地における風水害など想定される自然災害の被害の軽減を主たる目的として、情報収集・発信、訓練、指針・マニュアルの策定の取り組みを進めます。


・災害弱者へのサポートについて、当面、風水害を念頭に置いた支援策などについて検討を進めます。


【ふれあい支え合い部会】

・生活弱者に対する日常生活上のサポート、子育て支援、地区内の除草・清掃などみんなで暮らしやすい地域を作っていく活動として、有償ボランティアによる「地域の支え合い活動」の取り組みを進めます。


・高齢化が進むなかで健康を保つための情報提供や支援を行うとともに、みんなが認知症等の高齢化に伴う変化について理解を深め、地域で一定のサポートができる取り組みを始めます。


・お互いに気遣えあえる仲間を増やしていくため、ふれあいサロン・生涯学習サークル・地域づくり活動など、新たな出会いや3世代交流も念頭に置いた多様なステージの住民のふれあえる機会をつくります。


【企 画 運 営 委 員 会】

・地域づくりに関する助成などの制度や他地区の事例等の情報収集とともに、地域の多くのみなさんに地域づくり活動を理解し参加いただくため、自治会など身近な団体やHPなども活用してPR活動を重視し、若年・壮年層にも届くような情報発信・共有を進めます。


・構成団体等から地域づくり「コーディネーター」の推薦を得て、地域づくりの継続的な担い手として各部会等の運営に参加いただき、活動を活性化させるとともに、地域企業、福祉施設、大学等とも情報共有を進めます。


・各構成団体間の連携を強化するとともに、行政等との連携支援や共通使用物品等の一括調達、書類作成など事務処理のサポート、共通事務等の集中化など人材や経費削減策を進めます